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SCANDINAVIAN DESIGN スカンジナビアンデザインの魅力

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01デザイナーズ家具を
ご存知ですか?

「デザイナーズ家具」――この言葉から、どのようなものを想起されるでしょうか。
椅子やデスク、キャビネットに照明器具と、我々は普段の暮らしにおいて、多くの家具に囲まれています。
家具メーカーによる量産品からアンティークの逸品に至るまで、
いずれも誰かの手によってデザインされ、形作られたことには違いありません。
では、その中でも敢えて「デザイナーズ家具」と称されるものとは、どういった家具なのでしょうか。
それは、「デザイナーたちの思想の結晶」としての性格を有したもの、と言うことができるでしょう。

デザイナーたちが模索したのは、「人間にとっての本当に豊かな暮らしとは何なのか」。
即ち、自然・社会とのより良い向き合い方についてでした。
心豊かな生活のためには、どのような家が、食器が、そして家具があるべきなのか。この大きな命題に対し、各々の思想を形にするため、“デザイン”によって個性的なアプローチを展開していったのです。

家具という実用品の姿をとりながら、あるべき社会への問いかけを内包する。
その問いかけへの答えとして、家具という形式にたどり着く。
つまり、家具として優れていることが自身の哲学を肯定するものとなり、そこには「機能美」が生まれます。
デザイナーズ家具は、「機能美」に裏打ちされた芸術性を有する、絵画や彫刻とはまた趣を異にした、
新たな分野の「作品」なのです。

今回は、中でも高い人気を誇る「スカンジナビアンデザイン」についてご紹介します。

02スカンジナビアン
デザイン

手触りの良さ、使い心地の良さ。そして、シンプルであるが故に飽きのこない造形。
生活の一部として、使い込めば使い込むほどに増していく魅力。
人々に安らぎと温もりを与える、確かなものづくりがそこにはあります。

「スカンジナビア」は、ヨーロッパ北部のスカンジナビア半島周辺の地域を指す語として一般的に用いられています。スウェーデン、デンマーク、ノルウェーを中心に、フィンランドとアイスランドを含めた北欧諸国の総称というイメージが強いかもしれません。
その北欧地域で発展してきたデザインは特に「スカンジナビアンデザイン」と称され、高い人気を博しています。

今日のスカンジナビアンデザインは、19世紀中頃に興った「アーツ・アンド・クラフツ運動」にその源流を見ることができるでしょう。これは、イギリスの思想家ウィリアム・モリスを中心とした大きな芸術運動です。
産業革命により、ヨーロッパでは大幅な工業生産力の向上を実現します。しかし、大量生産に舵を切りすぎるあまり、街には粗悪な品質の製品が氾濫するという問題も同時に抱えることとなりました。モリスらはそんな世情を憂い、「生活と芸術の一致」を唱え、真に美しく恵まれた市民生活を目指すことを主張したのです。
この運動が欧州全域に広がっていく中で、北欧諸国では伝統的な手工芸を重んじる職人気質を強く保ったかたちで受け入れられていきました。デンマークにおけるモダンデザイン家具の父と称されるデザイナー、コーア・クリントは、「リデザイン」という考え方による制作を好んで行いました。これは、歴史的・伝統的なものを見つめ直し、華美な装飾を取り去るなどして、シンプルで現代的な姿に洗練して再構築するという手法です。単なるオマージュやイミテーションの枠に収まらず、対象の本質を浮き彫りにするこの考えは、後のスカンジナビアンデザインの礎を築いたと言っても過言ではありません。
モダニズムの波が押し寄せ、とにかく過去にない新たなものを生み出そうとする動きが世界中で加速していました。しかしクリントは「古代は我々よりももっとモダンである」という自身の言葉通り、歴史との共存を選択し、多くのデザイナーがその姿勢に共鳴しました。

スカンジナビアンデザインの最大の特徴は、何よりもまず「生活者の視点」に立脚している、ということでしょう。
寒さの厳しい北欧では、特に冬期は室内で過ごす時間が長くなります。そのため、家具など日用品の充実が、生活の質そのものに大きく関わってくるテーマであり、「より使いやすく」「より清潔感ある」ものを生み出そうという土壌が自然と育まれていたのです。
また、北欧で家具デザイナーとなるには、厳格なプロセスを踏まねばならないことも特筆すべきでしょう。まずは家具工房に弟子入りをするか、専門の学校に入ることで家具製作をみっちり学ぶ必要があり、そこで経験を積み、更に厳しい試験をパスすることで初めて家具デザイナーとして認められます。つまり、北欧の家具デザイナーたちは、同時に家具職人であることをも求められるのです。設計者が製作者の視点を持つことが、スカンジナビアンデザインの機能美を支えてきたとも言えるでしょう。

現在、フィン・ユール、ハンス・J・ウェグナー、アルヴァ・アアルトなど、多数のデザイナーによる家具が世界中で愛されています。無駄のないシンプルな造形が有する美しさ。伝統に根差した確かな存在感。見えない部分にこそ気を配る職人精神から来る高い品質。
そうした美意識が、人々の心に訴えかけるものがあったということの証ではないでしょうか。

03代表的なデザイナーと代表作

“ベアチェア”シリーズ

Hans J Wegner 1914-2007 ハンス・J・ウェグナー

“チャイニーズチェア”

20世紀を代表する北欧デザイン界の巨匠。北欧デザインの海外進出に大きな役割を果たし、MOMAをはじめとした世界中の美術館に彼の作品が収蔵されています。
彼のデザインした家具における最大の特徴は、指物師としての修行によって会得した、木材への深い理解でしょう。繊細に削り出され、加工され、繋ぎ合わされた木材から成るその家具は、実用性はもちろんのこと、空間に上手く調和して溶け込む優美さに満ちています。
代表作は、“チャイニーズチェア”。中国明代の椅子を改良して生み出したもので、コーア・クリントが唱えたリデザインの考え方を結実させました。また、“ベアチェア”シリーズは仮眠などに用いられる安楽椅子として愛される不朽の名作です。

FD136イージーチェア

Finn Juhl 1912-1989 フィン・ユール

NV53ソファ

ウェグナーと並び20世紀を代表するデザイナー。建築家としても活躍し、その独創的な感性からはどこか彫刻的な造形美を帯びた家具が多数生み出されました。FD136イージーチェアやNV53ソファのように、座面とフレームが別個に存在しているかのような、一見して不思議さすら感じさせる構造はまさに彼ならではのものです。
また、代表作“チーフテンチェア”のように、フレームの先端部に施した、軽やかながらも存在感ある装飾もまた、フィン・ユールのデザインが彫刻的と称される大きな要因となっています。

04 スカンジナビアンデザインの家具を使ったレイアウトイメージ

左 :ハンス・J・ウェグナー AP20:ミニベアチェア

中央:ハンス・J・ウェグナー スモールチェスト(1対)

卓上:マリアンネ・ブラント テーブルランプ

右 :ハンス・J・ウェグナー AP20:ミニベアソファ

左 :フィン・ユール グローブキャビネット

中央:Le Klint社 フロアランプ

右 :フィン・ユール チーフテンチェア

前:アルネ・ヤコブセン エッグチェア

後:ボーエ・モーエンセン キャビネット

左 :フィン・ユール FD137:ジャパンソファ

中央:フィン・ユール Judas:コーヒーテーブル

右 :フィン・ユール BO59:イージーチェア

左:ハンス・J・ウェグナー GE240:イージーチェア

右:ハンス・J・ウェグナー AT-10:サイドテーブル

上:HOLMEGAAD社 天吊灯

左:ピーター・ヴィッツ&オーラ・ミュルゴー・ニールセン
ブーメランチェア

右:セヴェリン・ハンセンJr BACA:タイルトップ
サイドテーブル

05北欧以外での
デザイナーズ家具

ドイツ工作連盟からバウハウスへ

アーツ・アンド・クラフツ運動の隆盛を受けて、モダニズムデザインが大きく花開いたのがドイツでした。ウィリアム・モリスの思想に応じた職人、デザイナー、実業家らは1907年にドイツ工作連盟を結成し、市民生活の向上を目標に掲げます。
ドイツ工作連盟の重要なキーワードに「規格化」という信念があります。“良質な製品を、誰もが平等に入手できることで生活の質は向上していく”として、そのために機械生産を肯定し、製造・流通という実業分野とも積極的に繋がっていくという考え方です。それは職人的手工芸に重きを置いた北欧とはまた違った視座からの、「豊かな暮らし」へのアプローチでした。
1919年にはこの考えに基づき、同じくドイツで芸術学校「バウハウス」が設立されます。建築・工芸・写真・デザインなど幅広い芸術を扱い、合理主義・機能主義を押し出した教育によって、欧州の産業界をリードする人材を多く輩出しました。
バウハウスが実際に開校していたのは僅か33年間と短いながら、その教育・思想は世界中のモダニズムの発展に大きな影響を及ぼしたのです。

左右:ミース・ファン・デル・ローエ チューブラチェア
中央:マルセル・ブロイヤー チューブラチェア

エーロ・サーリネン 72サイドチェア

アメリカン・モダニズム

バウハウスがナチスの圧力により閉鎖を余儀なくされた後、その流れを汲む多くのデザイナーがアメリカに渡ったこともあり、米国のデザイン界にもモダニズムが結実しました。
工業生産に適したスチールやプラスチック、ワイヤーといった新たな素材が好んで用いられ、軽快で明瞭な作品が生み出されていきました。
代表的なところではレイ&チャールズ・イームズやエーロ・サーリネンなどが活躍し、その遊び心に満ちた家具は都市生活にマッチするものとして受け入れられ、今なお多くの需要に応えています。圧倒的な経済力・生産力を有するアメリカでこそ、「合理主義・機能主義」を唱えたバウハウスの思想は生きるものだったのかも知れません。

06デザイナーズ家具の
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※2018年3月『月刊美術』「2017年美術品競売会社年間落札総額シェア率」参考

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